DroidDeckとは?AYN ThorでSteamを動かす方法をArmada・GameNativeと比較【2026年】
- 「DroidDeck」は、Android端末の中にSteam Deckと同じ画面(Big Picture)を立ち上げる無料アプリ。root化もブートローダーの書き換えもいらない
- Armadaとの一番の違いは導入リスク。ArmadaはABLの書き換えが必要だが、DroidDeckはアプリを消せば元どおり
- GameNativeとの違いは「見た目と使い勝手」。DroidDeckはValve純正のARM版Steamをそのまま動かすので、画面も操作もSteam Deckそのもの
- 私のThorでは『スカイリム』が普通に遊べた。導入はGameNativeより手間がかかるが、ゲームを入れた後の細かい設定はいまのところ不要
- 動く端末は限られる。SnapdragonでもAdreno 730以上が基本(AYN ThorはOK)。公開から1か月足らずの若いプロジェクトで、互換性はまだ発展途上
先日、AYN ThorでSteamのゲームを動かすLinux「Armada」を紹介しました(AYN ThorでSteamを動かす新しい選択肢「Armada」とは)。Armadaは「Androidでは動かなかったゲームが動く」一方で、起動のしくみ(ABL)を書き換える必要があり、気軽には試しにくいのが難点でした。
その直後に海外で話題になったのが「DroidDeck」です。Androidアプリとして入れるだけで、中身はSteam Deckと同じSteamが立ち上がります。この記事では、DroidDeckが何なのか、ArmadaやGameNativeと何が違うのか、Thorで使うなら何に気をつけるべきかを整理しました。
DroidDeckとは?Androidの中で「Steam Deck」を動かすアプリ
DroidDeckは、Android端末にインストールするだけで、Steam DeckのゲームモードとそっくりなSteamの画面を立ち上げるアプリです。2026年9月末にGitHubで公開され、10月12日に0.4.0が出ました。ライセンスはGPL-3.0で、無料で配布されています。
しくみは次のとおりです。
- Androidの中に、PRoot(root権限なしでLinuxを動かす仕組み)で小さなLinux環境を作る
- その中で、ValveのARM64版Steamクライアントを「Big Picture」モードで動かす
- WindowsのゲームはValveのARM64版Protonと、x86→ARM変換のFEXで動かす
ポイントは、Steam本体もProtonもValveのARM版をそのまま使っていることです。GameNativeやGameHubはSteamの画面を自前で作り直していますが、DroidDeckはSteam Deckと同じ純正の画面が出てきます。
動く端末:Adreno 730以上が基本
DroidDeckは、どのAndroid端末でも動くわけではありません。READMEに書かれている条件は次のとおりです。
| 項目 | 条件 |
|---|---|
| Android | Android 9以上 |
| GPU(推奨) | Adreno 730以上、またはAdreno 8xx |
| GPU(実験的) | Adreno 6xx。DX11(DXVK 2)は動く場合があるが、DX12は落ちることがある。0.3.2でAdreno 650(Retroid Pocket 5)にも対応 |
| 非対応 | Mali・Xclipse・PowerVR、Adreno 710 |
| 空き容量 | 本体だけで約3GB(デスクトップ・エミュレーターを入れると+約1.1GB)。ゲームは別 |
AYN ThorのSnapdragon 8 Gen 2はAdreno 740なので、推奨の範囲に入っています。0.4.0の公式リリース画像でも、Thorでコントローラー2台をつないだ画面分割プレイが紹介されていました。
0.4.0で何が増えた?Steam以外のストアにも対応
DroidDeckは公開からの1か月足らずで、ほぼ毎週のようにアップデートされています。10月12日の0.4.0で入った主な機能は次のとおりです。
- GOG・Epic・Amazonのゲームに対応(GOGとEpicはクラウドセーブにも対応)
- ゲームごとの互換設定:Proton・FEX・DXVK・VKD3D-Protonの版や、環境変数をゲーム単位で切り替えられる
- SteamOS風のデスクトップモード(KDE Plasma 6.7)
- コントローラー最大4台。本体のパッドをSteam Deck・Steam Controller・Xbox 360・DS4・DualSenseのどれとして認識させるか選べる
- Steamのタッチコントローラー(ベータ)、折りたたみスマホへの対応
- PRootの高速化(処理によっては最大57%高速)
なお、PRootの高速化は「一部の処理で速くなった」という意味で、すべてのゲームのフレームレートが57%上がるわけではありません(Retro Gamerの記事でも同じ注意書きがされています)。
0.3.xの時点で入っていた機能も、Steam Deckに近づける方向のものが中心です。
- Steam Deckのコントローラーとして認識させる(ジャイロ対応)
- 2画面の端末では、下の画面をSteam Deckの背面ボタン・トラックパッドとして使える
- Deckyローダー(プラグイン)、パフォーマンス表示
- GPUドライバー(Turnip)の自動導入
- microSDや外付けドライブをSteamライブラリにできる
- FSR・NISなどのアップスケーリング、スリープ中のダウンロード継続
DroidDeck・Armada・GameNativeを比較
Thorを持っている人がPCゲームを遊ぶ方法は、これで大きく3つになりました。違いを図と表にまとめます。
| 比べる点 | DroidDeck | Armada | GameNative |
|---|---|---|---|
| 形 | Androidアプリ | Linux(OSごと入れ替え) | Androidアプリ |
| 導入 | APKを入れて開発者向けオプションを1か所変える | microSDへの書き込み+ABLの書き換え | アプリを入れてログイン |
| 端末へのリスク | ほぼなし(アプリを消せば元どおり) | ABLの書き間違いで起動不能の可能性。試作段階 | ほぼなし |
| Steamの画面 | Valve純正のBig Picture | Valve純正のゲームモード | 独自の画面 |
| 対応ストア | Steam・GOG・Epic・Amazon(0.4.0〜) | Steam(デスクトップでEA・Ubisoftのランチャーが動いた報告あり) | Steam・Epic・GOG・Amazon |
| Androidとの行き来 | そのまま併用 | 再起動して切り替え | そのまま併用 |
| Thorの2画面 | 下画面を背面ボタン・トラックパッドに | 9月のアップデートで実験的に対応 | Androidの2画面機能を利用 |
| 対応GPU | Adreno 730以上が基本 | 対応機種リストのみ(Thorは確認済み) | READMEにGPUの条件は明記なし |
| 開発状況 | 2026年9月公開・10月12日に0.4.0 | 活発に更新中。公式に「安定版ではない」 | 10月14日にv1.3.0。最も長く使われている |
Armadaとの違い:「ABLに触らずにSteam Deckの画面」が一番の差
ArmadaとDroidDeckは、どちらも「Valve純正のSteamをARMで動かす」点では同じ方向を向いています。違うのは、それをOSごとやるか、アプリの中でやるかです。
- Armada:Androidの代わりにLinuxを起動する。端末の性能をLinuxが直接使えるぶん有利な面がある。ただしABLの書き換えが必要で、Androidとの切り替えには再起動がいる
- DroidDeck:Androidの上でLinux環境を動かす。ABLには一切触らない。PRootを挟むぶんのロスはあるが、Androidアプリと行き来しながら使える
Armadaの記事で「ABLをいじるのが怖くて試せない」と書いた人にとっては、DroidDeckは同じ「純正Steam」の体験に近づける、リスクの低い入り口になります。
GameNativeとの違い:純正の画面か、細かく調整できるか
GameNativeも、DroidDeckと同じAndroidアプリです。違いは、Steamを「どう見せるか」と「どこまで自分で調整するか」にあります。
- DroidDeck:純正のSteam(Big Picture)がそのまま出る。Steam Deckを触ったことがある人なら迷わない。0.4.0でゲームごとの互換設定も入った
- GameNative:独自の画面で、コンテナやドライバーを自分で組み替えて動かす。対応GPUが広く、公開が早く使っている人が多いぶん、動作報告も集まっている。10月14日のv1.3.0では、新しいSteam Controller(BLE)への対応や、Turnip・FEX・Protonの修正版をアプリ内で作る機能が入った
海外のコミュニティでは「DroidDeckはDX11やインディーゲームで安定している」という声もありますが、公式に示されている互換性のデータはまだ少なく、READMEでも「互換性はゲームによってばらつく」「実機での検証は限られている」と書かれています。DX12のゲームについては、Adreno 6xxで落ちることがあると明記されています。今の時点では、どちらが「動くゲームが多いか」はまだ言い切れない段階です。
実際にThorで使ってみた:スカイリムは普通に遊べた
私は普段、ThorでPCゲームを遊ぶときはGameNativeを使っています。DroidDeckも自分のThorに入れて、『スカイリム』をダウンロードして遊んでみました。結果は、特に問題なく普通に遊べました。
使ってみて感じた違いは、手間がかかるタイミングです。
- 導入はDroidDeckのほうが大変:Linuxの実行環境のダウンロードや、開発者向けオプションの設定など、遊べるようになるまでの準備はGameNativeより手間がかかりました
- ゲームを入れた後はDroidDeckのほうが楽:GameNativeではゲームごとに細かい設定を詰めることがありますが、DroidDeckではスカイリムをダウンロードした後、複雑な設定をしなくてもそのまま遊べました(いまのところ)
最初に少し頑張れば、あとはSteam Deckと同じ感覚でゲームを入れて遊べる、というのが私の印象です。ただし試したのはスカイリム1本なので、ほかのゲームでも同じとは限りません。
タイプ別の選び方
- Steam Deckと同じ画面で遊びたい・ABLには触りたくない → DroidDeck
- すでにGameNativeで遊べていて、細かい調整にも慣れている → GameNativeのままでOK。動かないゲームだけDroidDeckで試す手もある
- アプリの方法ではどうしても動かないゲームがあり、ABLのリスクを理解している → Armada(microSD起動にとどめる)
- Adreno 730未満の端末を使っている → DroidDeckは対象外か実験的な対応。GameNativeなどほかの方法を検討
DroidDeckを入れる前に知っておきたいこと
公式サイトは無い。偽のダウンロードサイトに注意
DroidDeckには公式サイトがありません。配布はGitHubのリリースページだけで、READMEでも「DroidDeckを名乗る偽のダウンロードサイトがある」と注意喚起されています。検索で出てきたサイトからAPKを落とすのは避け、必ずGitHubのDroid-Deck/DroidDeckのリリースページから入手してください。
リリースページには、通常版のほかに「antutu」「ludashi」「pubg」といった名前のAPKも並んでいます。READMEには使い分けの説明がないため、迷ったら名前の付いていない通常版(DroidDeck-0.4.0.apk)を選ぶのが無難です。リリースページには改ざんチェック用のSHA256SUMS.txtも置かれています。
「子プロセスの制限」をオフにする必要がある
DroidDeckを動かすには、Androidの開発者向けオプションにある「子プロセスの制限(Restrict child processes)」をオフにする必要があります。Android 12・13では、アプリ内の「Fix it for me」ボタンで設定できるようになっています。
容量はゲームとは別に4GB前後
DroidDeck本体の実行環境だけで約3GB、デスクトップやエミュレーターも入れると約1.1GB増えます。ゲーム本体はmicroSDや外付けドライブに置けるので、内部ストレージが心配な場合はライブラリを外に作るのがおすすめです。
よくある質問
Q. DroidDeckは無料ですか?
Q. root化は必要ですか?
Q. GameNativeと一緒に入れても大丈夫ですか?
Q. Snapdragon 8 Gen 1やDimensity(Mali)の端末でも使えますか?
- DroidDeckは、Androidアプリのまま純正のSteam(Big Picture)を動かせる。ABLに触らないのでArmadaよりずっと気軽
- 私のThorではスカイリムが普通に遊べた。導入の手間はGameNativeより多いが、ゲームを入れた後の設定はほぼいらなかった
- 0.4.0でGOG・Epic・Amazon対応、ゲームごとの互換設定が入り、GameNativeとの機能差は縮まった
- 一方で公開から1か月足らず。動くゲームの多さはまだ見えておらず、対応GPUもAdreno 730以上が基本
- 入手は公式GitHubだけ。偽サイトに注意



