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AYN ThorでSteamを動かす新しい選択肢「Armada」とは【2026年】

AYN ThorでSteamを動かす新しい選択肢「Armada」とは【2026年】
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この記事の結論
  • 「Armada」はARM携帯機向けのSteamOS風Linux。AYN Thorは公式の動作確認済み機種
  • 海外の検証では、Android上では動かなかったEA・Ubisoftのランチャーや『Just Cause 2』が動いた一方、『Forza Horizon 4』『Code Vein』は起動できなかった
  • 導入にはブートローダー(ABL)の書き換えが必要で、失敗すると起動不能になるリスクあり。公式も「試作段階・自己責任」と明記
  • 普段遊ぶならGameNative(Androidアプリ)で十分。GameNativeで動かないゲームがあり、リスクを理解した人だけArmadaを試す価値がある
この記事は、海外の実機検証と公式情報をもとに整理したまとめです。私自身もAYN Thorを持っていて、PCゲームは普段GameNativeで遊んでいます。ただ、Armadaは導入時にPCでいうBIOS/UEFIやMBRにあたる「起動の根っこ」を書き換える必要があり、怖くてまだ自分の端末には入れていません(編集部では未検証)。情報は2026年9月28日時点のものです。

Android携帯ゲーム機でSteamのPCゲームを遊ぶ方法といえば、これまではGameNativeやGameHubといったAndroidアプリが定番でした。そこに登場したのが、Thorなどの機種を「ミニSteam Deck」のように変えてしまうLinux「Armada」です。

海外ではすでに多くの検証動画が出ていて、「Androidでは動かなかったゲームが動いた」という報告も増えています。この記事では、Thorで実際にどこまで動くのか、GameNativeとどう違うのか、入れる前に知っておくべきリスクは何かを整理しました。

Armadaとは?ARM携帯機向けの「SteamOS風」Linux

Armadaは、Snapdragon搭載のAndroid携帯ゲーム機で動くLinuxです。起動するとそのままSteamのゲームモード(Steam Deckと同じ画面)が立ち上がるように作られています。開発者はvirtudude氏で、Fedoraをベースに、エミュレーター向けOS「ROCKNIX」の機種サポートを使っています。

公式のGitHubに書かれている主な中身は次のとおりです。

  • ARM64版のSteam
  • FEX(x86のゲームをARMで動かすための変換ソフト)
  • CachyOS Proton 11(WindowsゲームをLinuxで動かすための互換レイヤー)
  • KDEのデスクトップモード
  • 電力・ファンの制御、ゲームごとのFEX/Proton設定(Deckyプラグイン)
  • OTAアップデート(実験的)

ROCKNIXとの違いは、起動したときの画面です。ROCKNIXはエミュレーターのランチャー(EmulationStation)が立ち上がり、Steamは追加アプリという扱いです。Armadaは最初からSteamが立ち上がるので、PCゲームを遊ぶことが中心になります。

公式サイトとGitHubには「試作段階のソフトウェア。自己責任で使うこと」と明記されています。起動にはABL(ブートローダー)の書き換えが必要で、端末が起動しなくなったり、Androidのデータ領域が壊れたりする可能性があります。

対応機種:AYN Thorは「動作確認済み」

Windows用ゲームが2つの変換ソフト(ProtonとFEX)とOSのArmadaを経て、ハードのAYN Thorで動くしくみの図
ProtonとFEXの2段階の変換で、Windows用のゲームをARMのThorで動かす

2026年9月時点で、公式GitHubの対応表に載っている主な機種は次のとおりです(タップで開きます)。

対応機種の一覧(8機種)
機種SoC状態
AYN ThorSM8550(Snapdragon 8 Gen 2)動作確認済み
AYN Odin 2 / Odin 2 Mini / Odin 2 PortalSM8550動作確認済み
AYN Odin 3SM8750(Snapdragon 8 Elite)動作確認済み
Retroid Pocket 6SM8550動作確認済み
AYANEO Pocket EVO / ACE / DS / DMGSM8550動作確認済み
AYANEO Pocket S2SM8650動作確認済み
KONKR Pocket FIT(G3 Gen 3)SM8650動作確認済み
AYANEO Pocket S 2KSM8550未確認

9月のアップデートでRetroid Pocket 5なども対象に加わったと報じられています(retrohandhelds.gg)。最新の対応状況は必ず公式の対応表で確認してください。

実機検証で分かった「動くゲーム・動かないゲーム」

海外の検証:主要ランチャーが動く一方、DX12は苦手

まずは、YouTubeチャンネル「WiruDecko」がAYN Thorで大型アップデート後のArmadaを検証した動画の内容を整理します。

出典:WiruDecko「Armada OS MASSIVE Update! MORE PC Games Now Work on AYN Thor」

ゲーム結果検証者のコメント
Need for Speed Most Wanted(2012)◎ 快適EAアプリ経由で起動でき、快適に遊べた
Just Cause 2○ 動作AndroidやROCKNIXでは動かなかったが、Armadaでは動いた
Far Cry 3△ 重いUbisoftのランチャー経由で起動。古いゲームのわりに動作は重め
GTA4△ 準備に時間Vulkanのシェーダー作成に1時間以上かかった
Forza Horizon 4× 起動後に落ちるメニューまでは行くが、ゲームを始めると落ちる。DX12が原因の可能性。VKD3Dの設定を変えても直らず
Code Vein× 動かない—

特に大きいのは、Ubisoft・EA・Microsoftなどの主要なPCゲームランチャーが動くようになった点です。検証者によると、これらのランチャーはAndroidやROCKNIXでは動かなかったとのことです。Steam以外のストアで買ったゲームを持っている人には、ここが一番の魅力になりそうです。

一方で、古いゲームが意外と重いこと(検証者はPhysXの影響を疑っていました)、DX12のゲームは苦手な傾向があること、最初の準備に時間がかかるゲームがあることには注意が必要です。

大型アップデートで増えた機能

  • 外部モニター出力:動画の時点では「external display safe mode」を有効にする必要があった。9月のアップデートで、ゲームモードでも外部モニターが使えるようになったと報じられている
  • クイック設定の強化:性能プリセット、CPU、電力・ファンのプロファイル、アンダークロック、ファンカーブを調整できる
  • Armadaストア:ARM版のエミュレーターなどを入れられる
  • Steam以外のゲームを追加するツール

9月下旬のアップデート:スリープ中の電池消費が最大50%減

2026年9月27日には、使い勝手を中心にしたアップデートが公開されました。Thorに関係しそうな変更は次のとおりです。

  • スリープ中の電池消費を最大50%削減:Thorと同じSnapdragon 8 Gen 2(SM8550)のほか、8 Gen 3・8 Eliteの機種が対象。スリープ復帰後のWi-Fi再接続も速くなった
  • 管理アプリ「Armada Tools」を追加:OSの更新と、1つ前のバージョンへの巻き戻しができる。更新チャンネル(Stable/Beta/Preview)の切り替えや、ゲームとセーブデータを残したままSteamを修復する機能もある
  • Lossless Scalingのプラグインを0.12.8に更新
  • ゲーム中にクイックアクセスメニューがゲームの裏側に隠れてしまう不具合を修正

「更新して調子が悪くなったら前のバージョンに戻せる」ようになったのは、試作段階のソフトとしては安心材料です。ただし、導入時にABLを書き換える必要がある点は変わっていません。

Valve公式のSteamOS ARM版を移植する動きも出てきた

ArmadaはFedoraベースの「SteamOS風」のLinuxですが、9月に入ってから、ValveがSteam Frame向けに作った公式のSteamOS(ARM版)を、Android携帯機へ移植するコミュニティ版も出てきました。

AYN Thorで使えるArmadaとSteamOS-ARM-SM8550を、ベース・Thorでの動作確認・ABL書き換えの必要性で比べた図
  • SteamOS-ARM-SM8550:Thorと同じSM8550の機種向け。開発者が動作テストしたのはAYN Odin 2で、AYN Thorは対応機種の一覧に載っているものの「未テスト」の扱い(2026年9月28日時点)
  • SteamOS ARM for Handhelds:Snapdragon 8 Gen 3機(AYANEO Pocket FIT、Pocket S2など)向け。9月27日のv1.2で、Lossless Scalingのフレーム生成(LSFG 2.0)をARMでそのまま動かせるようになった。Thorは対象外

どちらもArmadaと同じくROCKNIXのABLへの書き換えが前提なので、導入のリスクは変わりません。Armadaの開発チームは、Steam Frame版のSteamOSが出てもArmadaの方針は大きく変えないとしています。Thorで試すなら、現時点では動作確認済みのArmadaのほうが情報がそろっています。

GameNative(Android)とArmada、どっちを選ぶ?

Thorを持っていてPCゲームを遊びたい人が一番迷うのは、「今のGameNativeのままでいいのか、わざわざArmadaを入れるべきか」だと思います。仕組みとリスクの違いを図と表にまとめました。

GameNativeはAndroidにアプリを追加するだけ、ArmadaはOSとABLまで入れ替えることを比べた図
GameNativeはアプリを足すだけ。ArmadaはOSと起動のしくみまで入れ替える
比べる点GameNative(Androidアプリ)Armada(Linux)
導入の手間アプリを入れてログインするだけmicroSDへの書き込みとABLの書き換えが必要
端末へのリスクほぼなし(アプリを消せば元どおり)ABLの書き間違いで起動しなくなる可能性あり。試作段階
仕組みAndroid上でPCゲームを変換して動かすOSごとLinuxに切り替えて、Steamを直接動かす
対応ストアSteam・Epic・GOG・AmazonSteam(デスクトップモードでEA・Ubisoftなどのランチャーも動いた報告あり)
Androidとの行き来そのままAndroidアプリと併用できる再起動して切り替える(SD起動ならAndroidは残る)
Thorの2画面Androidの2画面機能がそのまま使える動画の時点では上の画面のみ。9月のアップデートで2画面が実験的に対応
開発状況2026年8月にv1.2.0。動作報告の共有、Thorの電力制御にも対応活発に更新中。ただし公式に「安定版ではない」と明記
私のおすすめ
  • 普段遊ぶならGameNativeで十分。導入が簡単で、失敗しても端末は壊れません
  • Armadaを試す価値があるのは、「GameNativeで動かないゲームがある」「EA・Ubisoftのゲームを遊びたい」「Linuxの操作に抵抗がない」人
  • 試すなら、内部ストレージではなくmicroSDから起動する方法にとどめ、ABLのバックアップを必ず取ってから

私がArmadaを試していない理由:ABLをいじるのは高リスク

ABL(Android Bootloader)は、電源を入れたときに最初に動いて「どのOSを起動するか」を決めるプログラムです。PCでいえば、BIOS/UEFIやMBR(ブートローダー)にあたる部分だと考えるとイメージしやすいと思います。

  • ふだん:電源ON → Boot ROM → ABL → Android
  • Armada導入後:電源ON → Boot ROM → 書き換えたABL → microSDのLinux(Armada)
ふだんとArmada導入後で、AYN Thorの起動の流れがどう変わるかを示した図
Armadaを入れると、起動の途中にあるABLが書き換わる

アプリの不具合なら消して入れ直せば済みますが、ここの書き換えに失敗するとAndroidすら起動しなくなり、PCにつないで復旧作業をすることになります。自分の端末でそのリスクを取るのは怖い、というのが正直なところです。正式版に近づいて導入の手順がもっと安全になったら、改めて検討するつもりです。

Armadaが怖い人の選択肢:GameNativeとストリーミング

「ThorでPCゲームを遊びたいけれど、ABLはいじりたくない」という人には、端末の起動部分に一切触れない方法が2つあります。

方法向いている人注意点
GameNative(Androidアプリ)Thor単体で、外出先でもSteamのゲームを遊びたい人重いゲームや、DRMの強いゲームは動かないことがある
ストリーミング(Steam Link、Moonlightなど)自宅にゲーミングPCがあり、重い最新ゲームも遊びたい人ゲームを動かすのはPC側。PCの電源と安定したWi-Fiが必要で、外出先では通信環境に左右される

私は普段、ThorでPCゲームを遊ぶときはGameNativeを使っています。GameNativeの導入手順や使ってみた感想は、別の記事で詳しくまとめる予定です。

AYN Thorで使うときの注意点

  • microSDからの起動は遅め:SDに入れたゲームは読み込みが遅いという報告があります。カードはA2規格のものを選びましょう
  • 初回起動は画面が真っ暗な時間がある:公式によると、SDから起動すると最大60秒ほど黒い画面が続きますが、正常な動作です
  • 初期パスワードに注意:ユーザー名とパスワードは両方「armada」です。SSHを有効にする前に変更しましょう

導入の流れ(概要)とリスク

ここでは流れだけを紹介します。Thorは「Run script as Root」機能があるので、PCでADBのコマンドを打たずに作業できます。実際に入れるときは、必ず公式の手順(armadaos.dev)を最新の状態で確認してください。

  1. microSDに書き込む:Armadaのイメージを、Balena Etcherなどで64GB以上(A2規格推奨)のmicroSDに書き込む
  2. ABL用のファイルを本体にコピーする:rocknix_ablフォルダを内部ストレージに置く。ThorはSnapdragon 8 Gen 2なのでSM8550のフォルダを使う
  3. ABLをバックアップしてから書き換える:「設定 → Thor Settings → Run script as Root」から、まずbackup_abl.sh、次にflash_abl.shを実行する。バックアップされたabl_a.img/abl_b.imgは必ずPCにも保存する。SoCの種類を間違えると起動しなくなる
  4. ABLメニューで起動先を選ぶ:VOL−を押しながら起動し、「Set Device Model」でAYN Thor、「Switch Boot Mode」でLinuxを選んでSTART
  5. Steamの初期設定:言語やWi-Fiを設定してSteamにログインする
内部ストレージへのインストールもできますが、多くの場合Androidが初期化されます(アプリやデータが消えます)。失敗したときはPCからfastbootで復旧する必要があります。まずはmicroSDからの起動で試すのがおすすめです。

よくある質問

Q. Armadaを入れるとAndroidは消えますか?
microSDから起動する方法ならAndroidは残り、カードを抜けば元のAndroidで起動します(ABLの書き換えは必要です)。内部ストレージに入れた場合は、多くのケースでAndroidが初期化されます。
Q. AYN Thorの2画面は使えますか?
検証動画の時点では上の画面しか使えませんでした。2026年9月のアップデートで、2画面表示が実験的に使えるようになったと報じられています。
Q. Armadaは無料ですか?
Armada自体は無料で公開されています。ゲームは、自分のSteamアカウントで購入済みのものを遊ぶ形です。
まとめ
  • ArmadaはThorを「ミニSteam Deck」にするARM版のSteamOS風Linux
  • EA・Ubisoftのランチャーが動く報告がある一方、DX12のゲームはまだ苦手
  • ABLの書き換えが必要な試作段階のソフト。普段はGameNative、動かないゲームだけArmadaを検討するのが現実的

Armadaは更新のペースが速く、対応状況は数週間で変わります。新しい検証結果が出たら、この記事も更新していきます。携帯ゲーミングPC全体の選び方は携帯ゲーミングPCのおすすめ記事、Steam Deckとの違いはROG AllyとSteam Deckの比較記事で紹介しています。

出典

chillog 運営者

chillog 運営者

都内在住のWebディレクター(業界歴5年)/サウナ・スパ健康アドバイザー。「ガジェットと、整う暮らし」をテーマに、自腹で買って使ったモノだけを正直にレビューしています。