GPD WIN 5は565gで軽いのか|バッテリー装着で915g、Steam Deckの1.4倍【2026年9月】
GPD WIN 5 のスペックを見ていて、いちばん最初に「お」と思うのがここ。
本体 約565g。Steam Deck より約100g軽い。
7インチでRyzen AI Max+ 395を積んで、Steam Deck より軽い。数字だけ見ると意味がわからない。
結論から言うと、この565gを信じて買うと確実に後悔する。
565gで遊べる場面は、基本的にない。カタログの数字としては嘘じゃないけど、あなたが実際に手で持つ重さはこれじゃない。ここを分かっていない状態でポチると、届いた瞬間に「そうじゃなかった」となる。
もうひとつ、2026年9月に海外で追加された新構成の話も出てくる。こっちは逆で、「安くなった廉価版でしょ」という理解だと完全に読み違える中身だった。
この記事では、メーカー公式(GPD/国内代理店の天空/Valve公式)の一次情報だけを見て、この2つを整理する。日本語の GPD WIN 5 記事はほとんどが2025年10月の発表時ニュースのまま止まっているので、そこから先の話をする。
結論を先に
- 565gという数字は「バッテリーを積んでいない状態」の重さ。 GPD WIN 5 に内蔵バッテリーはない
- 外付けの80Whバッテリー(約350g)を付けて、はじめて携帯機として動く。その状態で約915g。Steam Deck より250g以上重い
- つまり565gは机の上でACにつないでいるときの重さ。携帯機として遊んでいる間、565gは一度も体験できない
- これは「携帯ゲーミングPC」ではない。「バッテリーを外せるゲーミングPC」。携帯機として買うと100%裏切られる
- 一方で 2026年9月に追加された Ryzen AI Max+ 388 構成は、廉価版ではない。GPU は最上位と同じまま CPU コアだけ半分にした構成で、ゲーム機としてはかなり理にかなっている
- ただし 388 の日本での販売・価格は未発表。今すぐ日本で買えるのは国内正規版(天空)だけ

1. 565gの正体|「軽い」には条件がつく
まず事実関係から。
| GPD WIN 5 | Steam Deck LCD | Steam Deck OLED | |
|---|---|---|---|
| 本体重量 | 約565g | 約669g | 約640g |
| バッテリー | 外付け80Wh(約350g) | 内蔵40Wh | 内蔵50Wh |
| 実際に持ち運ぶ重さ | 約915g | 約669g | 約640g |
| 公称駆動時間 | 電源構成による | 2〜8時間 | 3〜12時間 |
GPD WIN 5 は内蔵バッテリーを持たない設計。付属の180W電源につなぐか、外付けの80Whバッテリーパックを装着するかのどちらかでしか動かない。
だから565gという数字は、正確には「バッテリー抜きの重さ」。Steam Deck の669gはバッテリー込みの重さなので、この2つを並べて「GPD WIN 5 のほうが軽い」と言うのは、比べているものが違う。
じゃあこの設計は失敗なのか、というと違う
ここが面白いところで、外付けにしたからこそ80Whが載っている。Steam Deck OLED の50Whに対して1.6倍。内蔵式でこの容量を本体に詰めたら、厚みも重さも成立しなかったはず。
しかも着脱式なので、
- 予備バッテリーを持てば、その場で交換して延長できる(内蔵式には絶対できない)
- 家で据え置き運用するときはバッテリーを外して565gの軽い状態で使える
- バッテリーがへたっても交換できる
「常に915gを持ち歩く機械」ではなく、用途に応じて重さと駆動時間を付け外しできる機械、と捉えるのが正しい。

2. ジョイスティックは「静電容量式」
地味だけど、長く使うつもりなら効いてくるポイント。
GPD WIN 5 のアナログジョイスティックは静電容量式。安価なポータブル機に多い、摺動接点(物理的にこすれる抵抗体)を使う方式とは違う。
摺動接点式は使い込むと接点が摩耗して、スティックに触っていないのにキャラが動き続ける「ドリフト」が起きやすい。ポータブル機でいちばんよくある故障がこれ。静電容量式は物理的にこすれる部分がないので、その経年劣化の原因を構造的に持たない。
ちなみに Steam Deck も公式仕様で「静電容量方式フルサイズアナログスティック」を採用しているので、この2機種の間で差がつくポイントではない。効いてくるのは、もっと安価な中華ポータブル機と比べたとき。
> 20万円超の買い物で3年使うつもりなら、スティックの方式は見ておいて損はない。

3. 新構成「Ryzen AI Max+ 388」は廉価版ではない
2026年9月中旬、GPD が WIN 5 に新しい構成を追加した。海外で話題になっているのがこれ。
395 と 388 の違いは「CPUコアだけ」
| Ryzen AI Max+ 395 | Ryzen AI Max+ 388 | |
|---|---|---|
| CPUコア数 | 16コア | 8コア |
| GPU | Radeon 8060S | Radeon 8060S(同一) |
| メモリ | 32GB / 64GB | 32GB LPDDR5-8000 |
| SSD | 2TB / 4TB | 1TB NVMe |
GPU が削られていない。 ポータブルゲーミングPCの描画性能を決めるのは基本的にGPU側なので、これは「廉価版だから遅い」という話とはまるで違う。
さらに GPD の説明では、CPUコアを減らしたぶんの電力をGPUに回せる。携帯機は本体の冷却と電源で総消費電力の上限が先に決まってしまうので、「CPUの取り分を削ってGPUに寄せる」のは、ゲーム機としては素直な設計。
🔴 ただし、日本で買えるかは別の話
現時点で、388構成の日本での発売・価格は発表されていない。
案内されている購入経路は GPD の Indiegogo(クラウドファンディング)のみで、国内代理店の取り扱いラインアップにも 388 は入っていない。海外価格は出ているけれど、為替・関税・代理店保証の有無で国内価格とは別物になるので、この記事では円換算しない。
日本での価格は未発表。 天空からの正式アナウンス待ち。
個人輸入でクラファンに乗る選択肢はあるけれど、国内1年保証が付かないという前提は外せない。技適マークの有無は購入前に販売ページで必ず確認してほしい。
4. 私はこの構成をどう見ているか
388構成そのものは、素直に「うまいな」と思った。
CPUコアを半分に削ってGPUは据え置き。携帯機で16コアをフルに使い切る場面なんて、ゲームだけ考えるならまずない。それなら限られた電力をGPU側に全部寄せてくれたほうが、体感はきれいに上がる。削る場所を間違えていない。こういう割り切りができる設計は好き。
ジョイスティックが静電容量式なのもいい。ポータブル機は最後スティックから壊れるので、ここをケチらなかったのは長く使わせる気がある設計に見える。
……で、そのうえで言うけど、この機種を「軽いから」で選ぶのだけは絶対にやめたほうがいい。
565gという数字を見たとき、私も普通に魅力的だと思った。Steam Deck より100g軽い7インチ機、しかも中身は Ryzen AI Max+ 395。そんなのある?と思った。
ない。内蔵バッテリーが載ってないだけだった。
565gというのは、机の上で180Wの電源ケーブルを挿している状態の重さ。つまり携帯ゲーミングPCとして遊んでいるあいだ、565gという重さは一度も手に届かない。持ち運ぶことはあるだろうけど、それは「軽い携帯機を持ち歩いている」んじゃなくて「軽いPCを運んでいる」だけ。遊ぶ瞬間には、必ず電源かバッテリーがくっついてる。
で、そのバッテリーを付けると約915g。Steam Deck のおよそ1.4倍。両手で持って長時間遊ぶ重さとして、これは軽くない。素直に重い。
カタログの565gと、実際に手にかかる915g。この差が、この機種でいちばん事故るポイントだと思う。
「軽い携帯ゲーミングPCを探していてGPD WIN 5にたどり着いた」という人は、ここで一回立ち止まったほうがいい。求めているものと、この機械が用意しているものが、たぶん違う。
ただし——据え置きPCとして見るなら、話は完全にひっくり返る。
家では電源に挿して、バッテリーを外した565gの薄い板として机に置く。外に持ち出すときだけバッテリーを足す。この使い方なら、外付けにしたからこそ80Wh(Steam Deck OLEDの1.6倍)が載せられて、しかも予備と交換して延長できる、という利点が全部こっちを向く。バッテリーがへたっても交換すれば済む。内蔵式には逆立ちしてもできない芸当。
だから私の結論はこう。
携帯ゲーミングPCとして買うと、重さで裏切られる。持ち運べるゲーミングPCとして買うと、たぶんいちばん良い選択肢になる。
同じ機械なのに、どっちの言葉で探しに来たかで評価が正反対になる。GPD WIN 5 はそういう機種。
5. 向いている人/向いていない人

本題に入る前に、選択肢の前提を押さえておきたい。
向いている人
- 据え置きゲーミングPCを1台にまとめたい人。180W給電時の描画性能はデスクトップに迫る
- AI・クリエイティブ用途も兼ねたい人。メモリ64GBを積める携帯機は他にほぼない
- 予備バッテリーを持ち歩く運用が苦にならない人
- Windows でしか動かないタイトルを外で遊びたい人
向いていない人
- とりあえず携帯機でゲームがしたい人。価格帯が1桁違う
- 「565g」に惹かれて検討している人。その重さで遊ぶ場面はない。ここだけは断言できる
- カバンに1台だけ放り込んで出かけたい人。バッテリー込み約915gは Steam Deck の約1.4倍
- 値下がりを待ちたい人(→ 次項)
Steam Deck / ROG Ally との棲み分け
- Steam Deck:携帯ゲーム機としての完成度。迷ったらここ
- ROG Ally 系:Windows機の標準解。取り回し重視
- GPD WIN 5:携帯機の延長ではなく、ゲーミングPCの縮小版
👉 そもそもどれを買うか決まっていない人は ポータブルゲーミングPC 最強はどれ?4機種比較 と ROG Xbox Ally X vs Steam Deck OLED 比較 から読んでほしい。
6. 買う前にチェックすること
1. 実売は発売時の定価より上がっている。 2026年9月22日時点の GPD公式直販の実勢価格は、エントリー(Max 385/32GB/1TB)が298,000円、ミドル(395/32GB/2TB)が375,000円。発売時の定価268,000円/308,000円に対して、それぞれ3万円・6.7万円上がっている。メモリ・SSDの価格高騰の影響で、2025年10月のニュース記事の金額で計画すると売り場で足りない。「待てば安くなる」が今回は効きにくい
2. 構成は選べない。 2026年9月時点で国内で新品が買えるのは Ryzen AI Max+ 395 / 64GB / 2TB の1構成だけ。発売時のエントリー(Max 385 / 32GB / 1TB)とミドル(395 / 32GB / 2TB)は、GPD公式直販が SOLD OUT、Amazon にも出品がない。「ゲーム中心だから下位構成で十分」という選び方が、そもそも成立しない
3. 予備バッテリーの費用も予算に入れる。 着脱式の利点を活かすなら2本目が要る
4. 国内正規版かどうかを必ず確認する。 並行輸入品には国内保証が付かない
5. 技適マークの有無は購入前に販売ページで確認する
まとめ
- 565gは「バッテリーを積んでいない状態」の重さ。GPD WIN 5 に内蔵バッテリーはない
- バッテリー装着時は約915g(Steam Deck の約1.4倍)。携帯機として手に持つ重さはこちら
- 565gはAC接続時の重さ。「軽さ」を理由にこの機種を選ぶのは絶対にやめたほうがいい
- ジョイスティックは静電容量式。ドリフトの原因を構造的に持たない方式
- 新構成 Max+ 388 は廉価版ではない。GPUは最上位と同じまま、CPUコアだけ半分にした割り切り。削る場所を間違えていない
- ただし388の日本での販売・価格は未発表。今買えるのは国内正規版だけ
- 実売は発売時の定価より上がっている。待ち戦略が効きにくい
携帯ゲーミングPCとして買うと重さで裏切られる。持ち運べるゲーミングPCとして買うと、たぶんいちばん良い選択肢になる。
「軽い携帯機がほしい」でここに来た人は、素直に Steam Deck を買ったほうが幸せになれる。
「家のゲーミングPCを持ち出せるようにしたい」でここに来た人は、これ以上の候補はそうない。
同じ機械なのに、探しに来た言葉で答えが正反対になる。買う前に、自分がどっちだったかだけ決めてほしい。



